IRにおけるエンロールメント・マネジメントの推進
2026年9月11日(金)9時から12時まで、九州共立大学、九州女子大学・九州女子短期大学が主催し、「IRにおけるエンロールメント・マネジメントの推進」をテーマに、第5回合同IR研修会をオンラインで開催しました。
本研修会は、中京学院大学・短期大学部、文京学院大学、東京電機大学、仁愛大学との共催で実施しました。また、香蘭女子短期大学、愛知東邦大学にもご参加いただき、各校の事例報告と大学間の相互助言を通じて、教育や学生支援におけるIRの活用について意見を交わしました。当日の司会・進行は、本学の堂野崎融教授が務めました。
学生の歩み全体を捉えるIRを目指して
IR(Institutional Research)は、大学に関する情報を収集・分析し、教育や学生支援、大学運営の改善や意思決定に役立てる取組です。これまでの合同IR研修会では、学生対応や入試など、それぞれの課題に焦点を当て、各校の取組や実務上の課題を共有してきました。
今回のテーマ設定では、上記の実務上の課題が、学生にとっては入学から卒業までの一連のながれとしてつながって見えることに着目しました。大学では、入試、教育・教務、学生支援など、業務を担当する部門ごとに学生を捉える機会があります。一方、学生は、入学を経て学修や学生生活を送り、その過程でさまざまな支援を利用します。それぞれの部門が把握する情報を、学生の一連の歩みに沿って考えることで、IRの役割をより具体的に捉えられると考えました。
本研修会では、こうした視点からエンロールメント・マネジメントを取り上げました。各校の報告を通じて、個々の担当領域における分析や支援を、学生の歩み全体の中で捉え直すことを目的としました。
6件の事例報告を通じて各校の取組を共有
事例報告セッションでは、各校から、学生生活の実態把握、退学防止、学修成果の活用、情報の可視化などに関する報告が行われました。報告者と演題は次のとおりです。
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大学名 |
報告者 |
演題 |
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九州共立大学 |
堂野崎融 教授 |
九州共立大学における教学IRと在学中EM |
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九州女子大学・九州女子短期大学 |
関洋輔 准教授 |
学生生活アンケート調査結果から紐解く女子学生のニーズと満足度の分析 |
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中京学院大学 |
祝田学 准教授 |
退学者防止に導く教職員のコミュニケーション変革 ―教学IR室が切り拓くデータドリブン― |
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文京学院大学 |
石村友二郎 教学IRセンター特任助教 |
GPS-Academicの活用 -ダッシュボードの作成- |
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東京電機大学 |
吉田俊哉 教授 |
入学時のGHQと初年次科目の成績から退学・留年リスクを早期に把握する |
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仁愛大学 |
大須賀元彦 准教授 |
学修成果活用の再考を通した教学IRの実践-データ収集からエビデンスに基づく提案を目指して- |
本学の報告では、教学IRと在学中のエンロールメント・マネジメントを取り上げました。九州女子大学・九州女子短期大学からは、学生生活アンケートを通じて女子学生のニーズと満足度を捉える分析が、中京学院大学からは、退学防止に向けた教職員のコミュニケーションと教学IR室の取組が報告されました。
また、文京学院大学からは、GPS-Academicを活用したダッシュボードの作成について、東京電機大学からは、入学時のGHQと初年次科目の成績を用いた退学・留年リスクの早期把握について報告がありました。仁愛大学からは、学修成果の活用を再考し、データ収集からエビデンスに基づく提案へとつなげる教学IRの実践が紹介されました。
各校の報告は、扱うデータや取組の対象が異なり、学生の状況を把握するための多様な方法に触れる機会となりました。学生のニーズや学修状況をどのように捉えるか、得られた情報を教職員がどのように共有し、支援や改善に結び付けるかという観点から、各校の取組を考える構成となりました。
他大学の視点を取り入れる相互助言セッション
各校の報告と質疑応答に続き、対応校がコメント・助言を行う相互助言セッションを実施しました。このセッションでは、報告を行う側と助言を行う側の役割を各校が担い、大学間で意見を交わしました。
相互助言は、他大学の実践を知ることに加え、自校の取組を外部の視点から振り返るための機会として設けました。各大学では、学生の状況や組織体制、利用できるデータなどが異なります。そのため、報告された方法を自校で活用する際には、それぞれの条件に照らした検討が必要になります。
こうした違いを踏まえてコメントや助言を交わすことで、各校の事例を自校の課題と結び付けて考える機会となりました。また、報告者にとっても、他大学が着目した点や質問を通じて、自校の取組を説明し直し、検討する場となりました。
事後アンケートでは今回の目的に沿った評価
事後アンケートには26人から回答が寄せられました。回答者の担当業務は、IR、教育・教務、学生支援、入試・学生募集、大学運営・企画などにわたり、複数の業務領域から研修会への評価が寄せられました。
主な結果は次のとおりです。
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項目 |
肯定的な回答 |
人数・割合 |
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研修会全体の満足度 |
「満足」「やや満足」 |
25人/26人(96.2%) |
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学生の歩みをつながりのある過程として捉える視点 |
「十分に得られた」「ある程度得られた」 |
26人/26人(100%) |
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学生の歩み全体を支えるIRの役割への理解 |
「大きく深まった」「ある程度深まった」 |
24人/26人(92.3%) |
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相互助言セッションの有用性 |
「とても役立った」「ある程度役立った」 |
23人/26人(88.5%) |
特に、入試や在学中の学生支援などを、学生にとってつながりのある過程として捉える視点については、回答者全員が肯定的に回答しました。今回重視した、担当領域を越えて学生の歩み全体を見るという趣旨に沿った評価が得られました。
また、学生の歩み全体を支えるIRの役割への理解と、相互助言の有用性についても、多くの回答者から肯定的な評価が寄せられました。これらは回答者自身による評価ですが、各校の事例を共有し、他大学の視点を交えて検討する研修形式の意義を確認する結果となりました。
本研修会は、各校が蓄積してきたIRの実践を共有し、学生の学修や学生生活を支えるために、データをどのように活用するかを考える機会となりました。個々の業務で得られる情報を学生の歩みに沿って捉え直すことは、今後の教育・学生支援の改善を検討するうえでも有用な視点です。
ご報告いただいた先生方、ご参加いただいた皆様、開催にご協力いただいた関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。
(文責:IR担当プランナー 堂野崎 融(経済学部地域創造学科 教授))
