皆さん、こんにちは。
2023年12月20日(火)、本学深耕館S213教室で「NHK大学セミナー」が開催されました。
「NHK大学セミナー」は、NHK(日本放送協会)の番組制作者や出演者を大学へ講師として派遣し開催される講演型イベントです。この日のセミナーは本学学生 約60名が受講しました。
今回はNHKの人気番組「ねほりんぱほりん」のディレクターである山口 直紀さんが講師として来学されました。山口さんはテレビディレクターのお仕事の紹介や番組を制作するやりがいや苦労、ご自身の職業観等を語ってくださいました。
山口さんが制作されている「ねほりんぱほりん」は人形劇の体裁をとったトーク番組です。NHK Eテレで放送されています。モグラのぬいぐるみ「ねほりん(声:山里亮太)」と「ぱほりん(声:YOU)」が聞き手となり、ブタのぬいぐるみに扮した顔出しNGの「訳ありゲスト」とトークする内容です。
過去のテーマは90件以上。これまでの番組では「宝くじ1億円当せん者」「パパ活女子」「マッチングアプリにはまった人」「震災で家族が行方不明の人」など様々なゲストから”根掘り葉掘り”聞き出す赤裸々トークが展開されています。
今回の「NHK大学セミナー」では、まず「ねほりんぱほりん/ホストに貢ぐ女」の回を視聴しました。番組内では、ホストクラブに通う女性3人の心情や背景が語られました。興味深く見ごたえのある内容でした。
続いて、山口さんからテレビディレクターの仕事が紹介されました。テレビディレクターは番組の制作に直接携わる仕事であり、番組の企画~取材~提案~構成~撮影~編集~仕上げという一連の業務にすべて関わっていることが説明されました。
「番組を作るときは企画から仕上げまで、全ての段階が大変です」と語られた山口さんは、お仕事の中で喜びを感じるときについて「自分が作った番組に反響があった時は嬉しいですね。『ねほりんぱほりん』はSNSで話題になることが多いんですよ」と語られました。
「ねほりんぱほりん」で扱うテーマの選択については「私自身が『知らない話が聞けそう』と思えるテーマを選んでいます。加えて社会的意義、つまり社会のためや見ている人のためになるテーマであることも必要です。『ホストに貢ぐ女』の回は、視聴者に『愛について考えてもらう』ことを意図しました。愛を求めホストに貢ぐ女性には、それぞれの背景や思いがあります。それを聞くことで視聴者に『愛って何だろう?』と考えてもらいたかったんです。そのためゲストには、できるだけ具体的なエピソードを語ってもらい、視聴者の納得感を高めるよう努めました。この納得感は視聴者に考えてもらうため、そして印象に残る番組作りのために重要なんです」と述べられました。
↑ 講演中の山口さん
そして、山口さんの経歴が紹介されました。大学を2004年に卒業した山口さんは、飲食業、雑誌編集部、放送作家、テレビ番組制作会社を経て、NHKに入社されたそうです。山口さんは「私がこれまでやってきた職業の共通点は『落ち込んだ人を笑顔にできる仕事』であることだと思います。私の過去の経験や前職で培ったものは今の仕事に生きており、すべてはつながっていると感じています」と述べられました。
さらに「私は最初の仕事の飲食業では、ある程度仕事を極めたと思えました。しかしテレビ番組制作は極めるのが難しいです。番組を作り終えた後には、必ず反省点が浮かんできます。私にとって番組制作は一生挑戦し続けられる仕事です。皆さんも、しっかり学び、経験を積むことで、そんな仕事に巡り合ってほしいです」と、受講者へのメッセージが贈られました。
山口さんのお話からは仕事に対する誇りや、他者を喜ばせたいという気概のようなものが感じられました。講演の中では、山口さんが大学時代に「地域福祉論」を専攻していたことが語られ「福祉の意味は人々を幸せにすることです。番組制作も他者を幸せにできる仕事であり、大きな意味では福祉だと考えています」という意味のことが述べられました。山口さんは「ねほりんぱほりん」をはじめとする番組を、そのような思いを持って制作されているのですね。
山口さんの講演は、テレビ業界の興味深い話としてだけでなく、学生諸君が今後、目標を設定したり、職業を選択したりする上で大変ためになるお話だったと思います。山口さん、素晴らしい講演をありがとうございました。
《 T.N 》