皆さん、こんにちは。
11月22日(水)2限目の経済学部1年生の授業「職業とコミュニケーション」で柴原 洋さん(元 福岡ソフトバンクホークス/本学経済学部卒)と森部 昌広先生(本学経済学部准教授/スポーツビジネス科目担当)の対談が行われました。
九州共立大学1年生の必修科目「職業とコミュニケーション」は、自分の働き方や生き方を考えるとともに、自らの課題を発見し目標を立てる方法を学ぶ科目です。他者の考え方に耳を傾けることで自分の考えを固めるとともに、自分の考えを表現する力を高めること、社会で生きていくための基礎的な力を身に付けるきっかけとすることを科目の目的としています。
柴原さんは本学経済学部を卒業後、福岡ダイエーホークスおよび福岡ソフトバンクホークスでプロ野球選手として15年間活躍されました。現在は野球解説者として活躍されています。
↑ 柴原さん(左)と森部先生(右)
11月22日の「職業とコミュニケーション」では、柴原さんと森部先生の対談を通して、柴原さんからプロ野球選手時代の体験や、選手生活の中で考えたことなどが語られました。その一部を紹介します。
森部先生から「プロ野球選手になって意識したこと」をたずねられた柴原さんは「巡ってきたチャンスを活かすよう心がけました。僕は1997年ドラフトで、ドラフト3位で福岡ダイエーホークスに入団しました。ドラフト1位で入団した選手はオープン戦での起用など、チャンスが多く回ってきます。ドラフト3位で入団した僕はドラフト1位の選手よりチャンスが少なかったけど、そのチャンスを活かすよう努めました。調子が悪い選手の代わりに試合に出してもらったときに、しっかり結果を出すというようなことがプロ野球の世界で生き残っていくためには重要です。僕は少ないチャンスを活かしてきたからプロ野球の世界で15年間やってこれたと思っています」と語られました。
さらに「僕は、チーム内での自分の役割を考えました。そしてチームの勝利のために自分に何ができるかを考え、それを果たすよう努めました。自分がやるべきことを選手一人ひとりが考え、結果を出していけばチームは勝てます。それがチームワークです。プロ野球の世界は厳しい世界です。仮にチームが優勝しても、チームに貢献していない、結果を出していない選手は契約更新されません。だから僕は自分がプロの世界でプレイし続けるためにも、チームのために自分の役割を果たし、結果を出すよう意識しました」と述べられました。
現在のプロ野球におけるIT技術の活用については「僕らの頃は練習量をこなして、動きを身体にしみこませるという練習方法でした。今はデータを重視して練習している選手が多いですね。今の練習場には練習中のデータを記録・確認できる機材があります。例えば打撃練習なら、投球のコースや球速、それに対する自分のスイングスピード、打球の角度などのデータが記録され、選手はデータを確認しながら練習できます。そして選手はデータ部門の方と『このコースの球は、こういう打ち方が効果的だ』という話をしています。でも、データを重視した練習で状況ごとの対処方法が均一化されているからか、選手の個性が薄くなっている感じがします。そして個性のある選手、特に勝負どころに強く、大事な場面で『こいつなら何とかしてくれる』と思わせてくれる選手が減っていると思います。個性があり代えが効かない選手、チームに必要な選手になることはプロ野球の世界で生き残るために有効です」と語られました。
↑ 柴原洋さん
対談の後には柴原さんへの質問が受け付けられました。
受講生からの「柴原さんは野球をやっていて、どんなときに嬉しさを感じていましたか?」との質問に、柴原さんは「自分が努力して結果が出せたときが嬉しかったですね。自分で考え、努力して練習したことで結果が出たら最高です。その積み重ねで、さらに自分を高めていけますからね」と述べられました。
「私は大事な場面で緊張してしまうことが多いです。柴原さんは緊張をどのように乗り越えられてこられましたか?」という質問には「僕は試合に出るときは毎回緊張していました。第一打席に立つ前は、いつも『打てるかな』と心配し足が震えていたんです。だから緊張を克服するのではなく『緊張して当たり前』と考えて試合に臨んでいました」と答えられました。
私は、柴原さんが毎回の試合に緊張しながら出場されていたと聞いて驚きました。柴原さんは自分の緊張や不安を認めたうえで為すべきことを果たし、成果を挙げられていたのですね。そんな柔軟さこそが、柴原さんの「強さ」なのだろうと感じました。
最後に柴原さんから受講生へ「自分が興味を持てることを見つけ、それを追求してください。そして、自信をもって『自分にはこれができる』と言えることを作り、それを外に示してほしいです」との言葉が贈られました。
柴原さんのお話は、プロ野球選手としての経験を通じて語られたものでした。そのお話の中には、一般の社会人としても意識したいことや一個人として物事に取り組む場合にも役に立つ内容が含まれており、多くの人にとって示唆に富む内容でした。受講生は皆、メモを取りながら柴原さんの話を聞いていました。柴原さんのお話は、受講生の心に響いたことと思います。
柴原さん、充実した対談をありがとうございました。森部先生、お疲れ様でした。
《 T.N 》